退職届は、人生で数回しか書かない書類。だからこそ「これで合ってる?」と不安になりますが、実は決まり文句をなぞるだけの、もっとも簡単な公式文書です。この記事の文例をコピペして名前と日付を入れれば、10分で完成します。
理由は「一身上の都合により」の8文字だけでOK。詳細を書く必要も義務もありません。
合意済みなら「退職届」、これからお願いするなら「退職願」。白い便箋に黒ペン、白封筒に入れて直属の上司へ手渡しが基本形です。
退職届・退職願・辞表の違い
| 書類 | 性質 | 使う場面 |
|---|---|---|
| 退職願 | 「退職させてください」というお願い。承諾まで撤回の余地あり | これから切り出す・相談ベースで進めたいとき |
| 退職届 | 「退職します」という通告。提出時点で意思表示が完成 | 口頭で合意済み/確実に辞めたいとき |
| 辞表 | 役員・公務員が職を辞するときの書類 | 一般の会社員は使いません |
迷ったら:すでに上司と話がついているなら退職届。まだ切り出してすらいないなら、まず切り出し方を読んでから退職願を。会社と揉めていて確実に辞めたいなら退職届一択です。
文例(コピペ用)と縦書き見本
退職届の文例
退 職 届
私儀
このたび、一身上の都合により、
勝手ながら 2026年○月○日をもって退職いたします。
2026年○月○日
○○部○○課 氏名 ○○ ○○ ㊞
株式会社○○○○
代表取締役社長 ○○ ○○ 殿
退職願の文例
退 職 願
私儀
このたび、一身上の都合により、
勝手ながら 2026年○月○日をもって退職いたしたく、
ここにお願い申し上げます。
2026年○月○日
○○部○○課 氏名 ○○ ○○ ㊞
株式会社○○○○
代表取締役社長 ○○ ○○ 殿
ポイントは4つだけ。
- 宛名は社長(会社の代表)。渡す相手は上司ですが、宛先は組織のトップです。敬称は「殿」。
- 理由は「一身上の都合」固定。不満や病名を書く欄ではありません(会社都合退職の場合のみ「事業所閉鎖のため」など事実を書く)。
- 日付は2ヶ所:退職日と提出日。退職日は上司と合意した日付を。
- 「私儀(わたくしぎ)」は「私ごとですが」の意味の慣用句。縦書きでは行末(下寄せ)に書きます。
縦書きにする場合も文面は同一で、右から「タイトル→私儀→本文→日付→所属・署名→宛名」の順です。会社指定のフォーマットがある場合はそちらが優先。
用紙・ペン・封筒の選び方
- 用紙:白無地の便箋(B5またはA4)。罫線入りでも可。コピー用紙でも失礼にはあたりません。
- 筆記具:黒のボールペンか万年筆。消せるペン(フリクション等)はNG。
- 手書きかPCか:どちらでも有効。PC作成なら署名だけ手書きすると丁寧です。
- 封筒:白無地(郵便番号枠なし)。B5なら長形4号、A4なら長形3号。表に「退職届」(または退職願)、裏の左下に所属と氏名。
- 入れ方:三つ折り(下から上へ、次に上をかぶせる)。書き出しが右上に来る向きで封入します。糊付けは手渡しなら不要、〆も書かなくて構いません。
提出のマナー(手渡し・郵送)
手渡し(基本形)
-
口頭で退職を伝えた後に持参する
いきなり書類から入るより、口頭での報告→後日書類、の順が円満です。
-
直属の上司に封筒ごと両手で渡す
「お話しした件です。お受け取りください」の一言を添えて。人事へ直接出すのは、上司が受け取らない場合の次の手です。
郵送(出社しない場合)
退職代行を使う場合や出社しない場合は郵送で問題ありません。白封筒に入れた退職届を、一回り大きい郵送用封筒に入れて(二重封筒)、人事部宛てに送ります。添え状を一枚つけると丁寧です。証拠を残したいなら次章の内容証明で。
受け取ってもらえないときの対処法
「受理しない」「破り捨てられた」——安心してください。受け取りの拒否は退職の効力に影響しません。退職は意思表示が会社に到達すれば成立し(民法627条)、受理・承認は要件ではないからです。
ただし「聞いていない」と言わせないために、内容証明郵便(+配達証明)で送り直しましょう。いつ・どんな内容の文書が・誰に届いたかを郵便局が証明してくれるため、到達の証拠が完璧に残ります。
退職届の受け取りすら拒む会社は、有給消化や離職票の発行でも渋る可能性が高い。早めに労働組合型・弁護士型の退職代行へ窓口を切り替えることをおすすめします。交渉権のある第三者が入った瞬間、大抵の会社は正常化します。
よくある質問
印鑑は必要ですか?シャチハタでもいい?
退職日はいつの日付にすべきですか?
一度出した退職届は撤回できますか?
まとめ:10分で書ける。悩むのは日付だけ
- 合意済みなら退職届、これからお願いするなら退職願
- 理由は「一身上の都合により」だけ。それ以上書かない
- 白便箋・黒ペン・白封筒・三つ折り。宛名は社長、渡すのは上司
- 受け取り拒否されても効力に影響なし。内容証明で証拠を残す
- 提出後の流れは退職後の手続きガイドへ
- 民法627条(退職の意思表示)
- 厚生労働省「モデル就業規則」(退職手続きの規定例)
- 日本郵便「内容証明」サービス案内