退職すると、会社が裏でやってくれていた社会保険・税金の手続きが、一斉に自分の仕事になります。難しくはありません。ただ、期限があるものから順にやる必要があるだけです。
この記事は「転職先が決まっていない(またはブランクがある)人」向けの完全版です。転職先に即入社する人は、ほとんどの手続きを新しい会社がやってくれるので、源泉徴収票と雇用保険被保険者証を渡せばほぼ終わりです。
やるのは5つだけ。①健康保険(退職翌日から14日/20日以内)②国民年金(14日以内)③失業保険(離職票が届き次第すぐ)④住民税(一括徴収か納付書)⑤確定申告(翌年3月15日まで。還付だけなら1月から5年間)。
①②は市区町村役場で同日に済みます。③の給付制限は2025年4月から原則1ヶ月に短縮されており、自己都合でも思ったより早くもらえます。
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全体タイムライン(図解)
期限の一覧表(退職日の翌日から数える)
| 手続き | 期限 | 窓口 |
|---|---|---|
| 国民健康保険に加入 | 退職翌日から14日以内 | 市区町村役場 |
| 健康保険の任意継続 | 退職翌日から20日以内 | 加入していた健保組合・協会けんぽ |
| 国民年金への切り替え | 退職翌日から14日以内 | 市区町村役場(国保と同じ日に) |
| 失業保険の申請 | 離職票が届き次第。受給できる期間は原則、離職日の翌日から1年 | 住所地のハローワーク |
| 住民税 | 会社が退職の翌月10日までに市区町村へ異動届を出す。本人は最終給与での一括徴収か、届いた納付書の期限で払う | 市区町村(納付書) |
| 確定申告(所得税の還付) | 翌年3月15日まで。還付だけの申告は翌年1月1日から5年間できる | 税務署(e-Taxも可) |
会社から受け取る書類チェックリスト
チェックはこの端末のブラウザに保存されます(サーバーには送りません)。印刷時はナビや広告を省いて一覧だけを出します。
| 書類 | 使い道 | 届く目安 |
|---|---|---|
| 失業保険の申請に必須 | 退職後1〜2週間 | |
| 失業保険・転職先での手続き | 退職時 | |
| 確定申告・転職先の年末調整 | 退職後1ヶ月以内 | |
| 国保加入の手続き | 退職後数日〜(請求が必要な場合も) |
2週間待っても離職票が来なければ会社へ催促を。応じない場合はハローワークに相談すれば行政から確認が入ります。退職代行経由で辞めた場合は、催促も代行に任せられます。年金手帳の扱いや会社へ返す物、転職先に出す書類まで含めた全項目は退職時に返却するもの・受け取る書類の一覧にまとめています。
【退職後14日/20日以内】① 健康保険:3つの選択肢
退職日の翌日に、会社の健康保険は使えなくなります。選択肢は3つ。
| 選択肢 | 期限 | 向いている人 |
|---|---|---|
| 国民健康保険に加入 | 退職翌日から14日以内 (市区町村役場) |
前年の収入が低め/失業軽減制度を使える人 |
| 任意継続(今の健保を最長2年) | 退職翌日から20日以内 (健保組合へ申請) |
前年の収入が高め/扶養家族が多い人 |
| 家族の扶養に入る | 速やかに(5日以内目安) | 年収見込み130万円未満なら保険料0円で最強 |
- 国保の保険料は前年所得で決まるため、退職1年目は高くなりがち。ただし会社都合退職(特定受給資格者等)なら大幅な軽減制度があります。
- 任意継続は会社負担分も自分で払うので単純計算で約2倍。ただし保険料に上限があるため、収入が高かった人は国保より安くなることが多い。
- 迷ったら、役場の国保窓口と健保組合の両方で金額を試算してもらって安い方。これが確実です。
- ただし試算の前に確認すべきことがあります。判定の順番と保険料の上限は任意継続と国民健康保険どっちが得かで詳しく整理しました。
【14日以内】② 国民年金への切り替え
厚生年金から国民年金第1号被保険者への切り替えを、退職翌日から14日以内に市区町村役場で行います(健康保険と同じ窓口フロアで同日に済むのが普通)。持ち物は年金手帳(または基礎年金番号がわかるもの)・本人確認書類・退職日がわかる書類。
失業中は失業等による特例免除が使えます。未納のまま放置すると障害年金の受給資格にも影響するため、「払わない」ではなく「免除申請する」を選んでください。窓口で「退職特例で」と言えば通じます。免除の4区分と年金額への反映、配偶者の扶養に入る第3号のケースは退職後の年金の切り替えで詳しく整理しています。
【離職票が届いたら】③ 失業保険(雇用保険の基本手当)の申請手順
-
離職票が届いたら、住所地のハローワークへ
持ち物:離職票1・2、マイナンバーカード(または通知カード+本人確認書類)、証明写真2枚、本人名義の通帳。求職の申込みと同時に行います。
-
7日間の待期期間
全員共通。この間にアルバイトをすると待期が延びるので注意。
-
自己都合の場合:給付制限(原則1ヶ月)
2025年4月から、従来2ヶ月だった給付制限が原則1ヶ月に短縮されました。さらに、ハローワークの指示で教育訓練等を受講する場合は給付制限自体がなくなります。会社都合(倒産・解雇・ハラスメント等)なら給付制限はありません。
-
雇用保険説明会・初回認定日を経て振込
4週間ごとの認定日にハローワークへ行き、求職活動の実績を報告→数日後に振込、のサイクルです。実績は原則2回以上必要で、求人の閲覧やサイト登録だけでは数えられません。何が実績になるかは失業認定日の流れと求職活動実績の作り方にまとめています。
- 受給資格:自己都合は離職前2年間に被保険者期間12ヶ月以上、会社都合は1年間に6ヶ月以上。
- 金額の目安:退職前6ヶ月の賃金日額の50〜80%(上限あり)。
- 給付日数:自己都合は90〜150日。会社都合は年齢・勤続により90〜330日。
パワハラ・長時間労働・賃金未払いが原因の退職は、特定受給資格者・特定理由離職者と認定されれば給付制限なし+給付日数優遇+国保軽減の対象になり得ます。離職票の離職理由に異議がある場合は、認定手続きでハローワークにその旨を伝えて証拠を出しましょう。離職理由は弁護士型の退職代行で退職時に交渉しておくのが理想です。
【会社が翌月10日までに届出】④ 住民税:一括徴収か納付書か
- 住民税は「後払い」:前年の所得に対する税金なので、無収入になっても納付は続きます。退職月によって最終給与から一括徴収されるか、自宅に納付書が届く(普通徴収)かが変わります。納付書が来たら期限どおりに払うだけです。辞める月ごとの扱いと、次の6月に始まる分まで含めた総額の出し方は退職後の住民税で試算しています。会社は退職の翌月10日までに市区町村へ異動届を出すので、本人が役場で手続きすることはありません。
【翌年3月15日まで】⑤ 確定申告で所得税を取り戻す
- 所得税は「払いすぎ」になりがち:年の途中で退職して年内に再就職しない場合、年末調整が受けられません。翌年2〜3月に確定申告をすると還付されるケースが大半です。還付を受けるための申告は翌年1月1日から5年間できるので、3月を過ぎてしまっても間に合います。源泉徴収票、生命保険料控除証明書、国保・国民年金の支払記録を保管しておきましょう(社会保険料は全額控除対象)。前の会社から源泉徴収票が届かないまま申告時期が近づいている場合は、源泉徴収票をもらえないときの手続きで税務署への届出の出し方を確認してください。
手続きと並行して、次の仕事も動かしておく
失業保険は「求職活動をしていること」が受給の前提です。つまりハローワークの手続きと転職活動は、どのみち並行して進めることになります。給付制限のある自己都合退職でも、待っている間に応募を進めておくとブランクが短くて済みます。会社員に戻らず独立する予定なら、開業準備に専念している期間は基本手当の対象外になるのが原則なので、開業日と再就職手当・受給期間の特例の使い分けを退職してフリーランスになるならで先に確認してください。
エージェントを使うかどうかは自由ですが、職務経歴書の書き方と条件交渉を代行してもらえる点は、久しぶりの転職活動では効きます。相談は無料で、その場で応募を決める必要はありません。エージェントは年齢層や働き方で得意分野が分かれるので、自分の状況に近いものから選ぶと話が早く進みます。
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よくある質問
退職してすぐ転職する場合は何をすればいい?
失業保険をもらいながらアルバイトはできますか?
傷病手当金をもらいながら退職できますか?
まとめ:役場1回+ハローワーク1回で山は越える
- 14日以内に役場で国保(or任意継続の判断)+国民年金を同日処理
- 離職票が届いたらすぐハローワーク。自己都合の給付制限は原則1ヶ月に短縮済み
- 住民税は納付書で払い、翌年の確定申告で所得税を取り返す
- お金が厳しいときは「未納」ではなく軽減・免除・猶予の申請を選ぶ
- これから辞める人は、書類が確実にもらえる労組型の退職代行経由だと手続きがスムーズです
- 退職を機に引越すなら、役場での住所変更と同じ時期にネット回線の移転か乗り換えも決める必要があります。工事日は1ヶ月以上先になることもあるので、回線コンパスの「引越し時のネット回線ガイド」で段取りだけ先に確認しておくと安全です
- ハローワークインターネットサービス「基本手当について」(2026年8月確認)
- 厚生労働省「離職されたみなさまへ」(給付制限の見直し・2025年4月施行)
- 日本年金機構・全国健康保険協会(協会けんぽ)の公開資料