「辞めたいのに、辞めさせてもらえない」「上司の顔を見て言い出せる気がしない」——そこまで追い込まれているなら、退職の連絡を代わりにやってもらうのは、逃げではなく合理的な手段です。

ただし退職代行は、どの会社に頼むかで「できること」がまるで違います。選び間違えると「有給の交渉は法律上できません」と言われて終わり、ということも。この記事では選び方の基準を先に示してから、基準を満たす5社を比較します。

先に結論

選ぶ基準は運営元。ほとんどの人は労働組合運営で足ります。迷ったら一律22,000円の円満退職ユニオン、さらに安く済ませたいなら性別特化の男の退職代行わたしNEXT(18,800円〜)。

未払い残業代の請求や損害賠償トラブルの恐れがあるなら、値は張っても弁護士(ZEN)一択です。

迷ったら、ツールで候補を絞れます

記事で挙げた5社を、料金・運営の型・交渉可否で横に並べて見られます。

退職代行で本当に辞められる理由(法的根拠)

まず不安を先に潰しておきます。退職代行で辞められるのは、業者のテクニックではなく法律がそうなっているからです。

退職代行がやっているのは、この法律上の意思表示を本人に代わって確実に届け、以後の連絡窓口になること。「会社と直接話さずに、法律どおりの退職を進める」サービスだと理解してください。

💡 契約社員・派遣の人は少し違う

有期雇用契約の期間中は原則「やむを得ない事由」が必要です(民法628条)。ただし契約から1年を経過していればいつでも退職を申し出できます(労働基準法附則137条)。有期雇用の人は、相談時に契約形態を必ず伝えましょう。

最重要:運営元3タイプの違い

退職代行選びの9割はここで決まります。運営元は民間企業・労働組合・弁護士の3タイプがあり、法律上できることが段違いです。

退職代行の3類型の比較図。民間企業は伝達のみ、労働組合は団体交渉権により交渉可能、弁護士は請求・訴訟まで対応
「交渉できるか」が最大の分かれ目。民間は伝えることしかできません

ポイントは、弁護士資格のない者が報酬を得て法律事務(交渉・請求)を行うことは弁護士法72条で禁止されている(非弁行為)こと。民間企業の退職代行が「有給を消化させろ」と会社に要求したら違法の恐れがあり、まともな民間業者は伝達しかしません。

一方、労働組合には憲法・労働組合法に基づく団体交渉権があり、組合員のための交渉が適法にできます。利用者は形式上その組合に加入して依頼する仕組みです。有給消化・退職日・貸与物の扱いといった「現実に発生する調整ごと」を任せられるため、いま退職代行の主流は労組型になっています。

失敗しない選び方3つの基準

  1. 交渉が必要か? → 労働組合以上を選ぶ
    有給消化を希望する、退職日を調整したい、離職票を確実に出してほしい——ひとつでも当てはまれば労組型以上。実際ほぼ全員当てはまるので、民間型を選ぶ理由はあまりありません。
  2. 金銭トラブルの芽があるか? → 弁護士を選ぶ
    未払い残業代・退職金を請求したい、「辞めたら損害賠償だ」と脅されている、パワハラの証拠がある。この場合は請求・訴訟まで扱える弁護士型へ。
  3. 料金は「相場の範囲内か」だけ見る
    労組型で24,000〜30,000円が相場。極端に安いのは追加料金やずさんな対応のリスク、高くても品質が上がるわけではありません。相場内なら差は数千円。「安さで選ぶ」より「運営元で選ぶ」が鉄則です。
退職代行の料金相場グラフ。民間15,000〜25,000円、労働組合24,000〜30,000円、弁護士27,500円以上+成功報酬
労組型は相場が狭い=価格競争が済んでいる。だから運営元で選べばいい

おすすめ5社の比較表

サービス運営元料金(税込)交渉特徴
円満退職ユニオン 労働組合法人 22,000円(一律) 京都府労働委員会の資格審査。追加料金なし
男の退職代行 労働組合が実施 18,800〜21,800円 男性専門・全額返金保証
退職代行Jobs 民間+労組連携
(弁護士監修)
27,000円
+労組費2,000円

(労組加入時)
弁護士監修・後払い対応
わたしNEXT 労働組合が実施 18,800〜21,800円 女性専門・全額返金保証・サブスク型あり
弁護士法人ZEN 弁護士 27,500〜77,000円
+成功報酬

(請求・訴訟も)
未払い賃金・損害賠償トラブル対応

※料金は2026年8月執筆時点の各社公式サイト掲載情報。変更されることがあるため、申込前に必ず公式サイトでご確認ください。

5社の詳細レビュー

当サイトの評価は、各社公式サイトの公開情報(運営主体・料金・対応範囲・保証)にもとづく客観比較です。評価基準は編集ポリシーで公開しています。

迷ったらこれ

円満退職ユニオン

労働組合法人 円満退職ユニオン(京都府労働委員会の資格審査を経て法人登記)

★★★★★4.5
円満退職ユニオンのサービス概要。労働組合法人・一律22,000円

労働組合そのものが運営しているのが最大のポイント。提携や連携ではなく組合が直接の窓口なので、交渉の適法性に構造的な不安がありません。しかも京都府労働委員会の資格審査を経て法人登記された労働組合法人です。料金は一案件一律22,000円で追加料金なし。退職の意思を伝えるだけでなく、退職日・有給休暇・最終賃金といった退職条件について会社と直接協議します。全国対応・オンライン可・相談無料。「確実さで選ぶ1社」です。

👍 良い点
  • 労働組合法人が直接運営(適法に交渉できる)
  • 京都府労働委員会の資格審査という客観的裏づけ
  • 一律22,000円・追加料金なしで最安級
👎 注意点
  • 訴訟に発展するトラブルは扱えない(弁護士の領域)
  • 後払いには非対応
男性で最安を狙うなら

男の退職代行

株式会社ネクストレベル(合同労働組合が実施・弁護士指導)

★★★★☆4.3
男の退職代行のサービス概要。労働組合が実施・18,800円から

男性専門という珍しい設計。実際の代行業務は合同労働組合が弁護士指導のもとで実施するため、有給消化や退職日の交渉も適法に行えます。料金はアルバイト・パート18,800円、正社員など21,800円(いずれも税込)と、労組型では最安の部類。退職できなければ全額返金の保証つきで、日本退職代行協会(JRAA)の特級認定も取得しています。無料の転職サポートも付帯。

👍 良い点
  • 労組型で18,800円〜は最安級
  • 退職できなければ全額返金保証
  • 男性特有の職場事情に精通
👎 注意点
  • 男性専用(女性はわたしNEXTへ)
  • 訴訟対応は不可(弁護士の領域)
女性で最安を狙うなら

わたしNEXT

株式会社ネクストレベル(合同労働組合が実施・弁護士指導)

★★★★☆4.3
わたしNEXTのサービス概要。労働組合が実施・18,800円から

上記「男の退職代行」と同じ運営元による女性専門サービス。代行業務は合同労働組合が実施するため交渉が可能です。料金はアルバイト・パート(社会保険未加入)18,800円、正社員・契約・派遣・内定辞退・休職代行など21,800円(税込)。全額返金保証つき。月額3,300円(税別)で年2回まで使えるサブスク型「ヤメホー」という珍しい選択肢もあり、転職を繰り返す可能性がある人には合理的です。

👍 良い点
  • 労組型で18,800円〜は最安級
  • 内定辞退・休職代行にも対応
  • サブスク型プランを選べる
👎 注意点
  • 女性専用(男性は男の退職代行へ)
  • 訴訟対応は不可(弁護士の領域)
弁護士監修の安心感

退職代行Jobs

株式会社アレス(顧問弁護士監修・合同労組と連携)

★★★★☆4.1
退職代行Jobsのサービス概要。弁護士監修・27,000円+労組費2,000円

民間運営ながら顧問弁護士が業務を監修し、交渉が必要な場面では連携する労働組合(労組費2,000円)が対応する二段構え。適法性に配慮した運営設計と、現金後払い・24時間対応など利用ハードルの低さを両立しています。退職届テンプレートや引継書のひな形など付帯サポートが充実しているのも実務的。

👍 良い点
  • 弁護士監修+労組連携の設計
  • 現金後払いに対応
  • 書類テンプレなど付帯サポートが充実
👎 注意点
  • 交渉ありだと計29,000円と労組直営よりやや高い
  • 監修=弁護士が代行してくれるわけではない
揉めそうなら一択

弁護士法人ZEN

弁護士法人汐留パートナーズ法律事務所

★★★★☆4.2
弁護士法人ZENの退職代行サービス概要。弁護士対応・27,500円〜の3プラン

弁護士がそのまま代理人になるため、退職の伝達から未払い残業代・退職金の請求、損害賠償への反論、訴訟対応まで全部を1窓口で完結できます。料金は用途別の3プラン制で、お手軽27,500円(退職通知・離職票等の請求)、推奨55,000円(有給・未払給与の交渉、社宅交渉、損害賠償対応。公務員もこのプランで対応)、専門77,000円(自衛隊・業務委託・会社役員など)。金銭請求は会社が支払いを拒んで弁護士が交渉した場合のみ、回収額の20%+税が加算されます。

👍 良い点
  • 弁護士が直接対応(対応範囲に上限なし)
  • 未払い賃金・退職金の請求まで任せられる
  • 公務員・自衛隊・会社役員にも対応
👎 注意点
  • 交渉まで求めると55,000円〜と労組型の約2倍
  • 単に辞めるだけなら労組型で足りる(オーバースペック)

依頼から退職完了までの流れ

退職代行利用の流れ。無料相談、申込・支払い、ヒアリング、代行実行、退職完了の5ステップ。本人がやるのは退職届の郵送・貸与物の返却・書類の受け取りの3つ
依頼後、会社と直接やり取りする必要はありません

どの社もおおむねこの流れです。最短なら朝相談して、その日の始業前に会社へ連絡してもらうことも可能。詳しくは退職代行の流れと仕組みで、実行日当日の動きまで解説しています。

悪質業者の見分け方

⚠ こんな業者は避ける
  • 民間企業なのに「会社と交渉します」と明言している(非弁行為の恐れ。トラブル時に守られるのはあなたではありません)
  • 運営元(会社名・組合名)がサイトのどこにも書いていない
  • 相場より極端に安い(1万円未満)のに、オプションで追加請求される仕組み
  • 「懲戒解雇にならない保証」など法的にできない約束をする

本記事の5社は、運営主体と料金体系が公式サイトで明示されていることを確認したうえで掲載しています。

よくある質問

本当に会社に行かずに辞められますか?
依頼日以降の出社は不要になるのが通常です。退職届や貸与物は郵送で対応し、会社からの連絡も代行業者が窓口になります。法律上、退職に「対面での挨拶」は必要ありません。
親や家族に知られませんか?
代行業者は「本人以外への連絡を控えるよう」会社に伝えます。ただし会社が実家に連絡すること自体を法的に禁止はできないため、100%の保証はありません。心配な場合は相談時に伝えておきましょう。
会社から本人に電話がかかってきたら?
出る義務はありません。「連絡は代行(組合・弁護士)経由でお願いします」と伝えてあるので、無視して代行業者に報告すればOKです。
退職金や有給はもらえますか?
有給休暇の取得は労働基準法上の権利で、退職金は就業規則の規定どおり請求できます。ただしこれらの「交渉」ができるのは労働組合か弁護士だけ。民間型に依頼すると希望を伝えることしかできません。
公務員でも使えますか?
公務員の退職は国家公務員法・地方公務員法に基づき手続きが異なり、多くの民間・労組型ではサポート対象外です。公務員の方は弁護士型(ZEN等)に相談してください。

まとめ:運営元で選べば、まず失敗しない

📚 参考情報・データの出典
  • 各社公式サイトの料金・サービス内容(2026年8月確認)
  • 民法627条・628条、労働基準法39条・附則137条、弁護士法72条、労働組合法6条
  • 厚生労働省「労働基準法の基礎知識」ほか公開資料